最近食事中によくむせるのですが、それを相談するのは訪問歯科さんでもいいんですか？？
これくらいの事でお願いするのは申し訳ないと母は言うのですが、診てもらった方がいいのかどうか分からず心配です。

はい、訪問歯科で大丈夫です。
ご高齢の方は特に皆さん遠慮がちで、よっぽどのことがないと呼んでいただけないのですが、「無料歯科検診」を利用してぜひ心配の種をそのままにしないで下さい。
また、小さいことも治療のヒントになることもあるので、何でもお話しくださいね。

毎日のご飯を安全・安心に食べたい

「食事中にせき込むようになった」
「食事中よくむせている」
「ご飯を食べるのに時間がかかって、疲れたと言っている」

もしかしたら、飲み込みの機能が衰える「摂食嚥下障害（せっしょくえんげしょうがい）」かもしれません。

摂食嚥下（せっしょくえんげ）とは

「食べ物を認識→噛む→飲み込む」の一連の動作を「摂食嚥下（せっしょくえんげ）」といいます。
健康だと当たり前に出来る「食べる」という行為は、歯・アゴ・ノド・ベロ・頬が絶妙なタイミングで連携して初めて出来るのです。
その一連の機能を「摂食嚥下（せっしょくえんげ）機能」と言います。

その機能がうまく働いていない状態を「摂食嚥下障害（せっしょくえんげしょうがい）」といいます。

摂食嚥下機能の概要とその５段階について

摂食嚥下は「食べて飲み込む」だけでなく、「食べ物を視認し、口に入れ、咽頭（いんとう）・食道を経て、胃に入るまでの過程」全てを指します。

この過程を専門的に「５つの期」に分けます。
摂食嚥下障害は、この５つの期のどこかで異常がある事を指します。

①先行期：何をどんなペースで食べるか判断する

②準備期（咀嚼期）：食べ物を口に取り込み、噛んで「食塊※」にする

③口腔期（嚥下第１期）：食塊を「口からノドへ」送る

④咽頭期（嚥下第２期）：食塊を「ノドから食道へ」送る

⑤食道期（嚥下第３期）：食塊を「食道から胃へ」送る時期

※食塊（しょっかい）：噛んだ食べ物が唾液と混ざり、かたまりになったもの

摂食嚥下機能に関連する器官

普段はまず意識しない「食べる・飲む」の役割を担う器官をご紹介します。
下記図と表内の番号を参照の上ご覧ください。

摂食・嚥下の動き

実際はどのように飲み込んでいるのでしょうか？
下記の図は、健康な人が液体を嚥下する動きです。（緑色の部分が食塊）

A嚥下する直前

舌の前と後で、食塊をひとまとめにします。
また、軟口蓋と奥舌が接触し、食塊が咽頭にこぼれないようにします。

B口腔期

食塊が、口からノドに送り込まれます。
この時、軟口蓋が挙上して咽頭後壁と接触、食塊の鼻への逆流を防ぎます。
これを前後して、舌骨の挙上が開始します。

C咽頭期の開始

舌骨挙上、および下骨に引かれるよう喉頭が挙上します。喉頭蓋も倒れ、気道を誤嚥から守ります。

D咽頭期

咽頭に入った食塊が、奥舌に送り込まれ、咽頭が収縮して食道へ送り込まれます。
また、舌骨と喉頭が挙上し食道の入口が開きます。

E食道期

食塊は、完全に咽頭から食道へ送り込まれます。

F嚥下反射の終了

食塊は食道から胃へと送り込まれ、関与した組織が元の位置に戻ります。

当院では、摂食嚥下専門の先生がおります。
分らない事、心配な事は遠慮なくご質問ください。